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KIMIX-GOGOOther > ブラック企業に裁判を起こして120万円をゲットした件

■ブラック企業に裁判を起こして120万円をゲットした件 <その他話題>  [16.05.22]

ブラック企業に裁判を起こして120万奪い返したのでざっとまとめてみました。
社畜の皆さんにおかれましては一例としてぜひ参考にしてください。


2015年11月にしたこちらのツイートたくさんRTされましたが、
大金ゲットやったー!なんて単純な話ではありません。

ブラック企業というと低賃金で若者を使い潰す…
というイメージが強いかもしれませんが私のいた会社はちょっと違い、
老害社長のワンマン経営がひどい会社でした。

裁判にいたる経緯を項目ごとにに分けて紹介しますが
長文は面倒という人はせてこのページだけでも読んでください。
詳細を知りたい人は各詳細ページへどうぞ。
※詳細ページはまだ一部書き途中です


1.ブラック企業に勤務

試用期間3ヶ月、正社員期間36ヶ月勤務し、
主に社長からのパワーハラスメントなど数々のストレスにさらされ退職。

パワハラの例
・気に入らない従業員を皆の前で怒鳴りつける
・従業員のミスなどが発覚すると皆を集め、30分〜ときには1時間近くにわたり怒鳴り続ける
・ミスをした従業員に辞表を書かせる(辞めさせる訳ではない)
・従業員のことを呼び捨てにしときに「お前」「おめぇ」「このガキども」などと呼ぶ
・月一の"全体会議"において題を提示し従業員に発言させ、失言を誘い怒鳴りつける

実際にあった恫喝、罵倒文句
「この馬鹿野郎共」「給料泥棒」「辞表出せ」
「俺に従えない者は今すぐ辞めろ」「詐欺師」「他の会社にいけ」
「俺の作った会社にお前らはおんぶにだっこしているだけだ、行ってみれば玉の輿だ」
「これだけいい給料払ってやってるだろ、この地域でこれだけ払える会社は他にねぇぞ」
「●●(元事務員)首だ!●●がいたら往復ビンタでひっぱたいてやりてぇ」
「(クレームが来ているのに代休取るようなやつは)給料半分にすりゃいいんだろう」

当人曰く叱咤激励のつもりらしいですが、
ヒステリーというか感情爆発の様は尋常ではなく、
とても社員教育や指導の一環とは思えません。

恫喝罵倒も最初は聞いていたのですが、
夜寝るときに老人の怒りに醜く歪んだ顔や声が頭の中で反すうされ眠れなくなり、
以降極力顔を見ず、話も聞かないようにしました。
実際たいしたことは言っていませんでしたが。

その他おかしな社内文化
・就業規則を回示していない
・有給休暇の取得や定時退社がしにくい空気
・休暇を取ったり残業せず帰った従業員を「まわりに迷惑をかけた」など不当評価している
・有給数を従業員に教えない(事務員曰く、社長の許可がないと教えられない)
・退職時の有休消化を妨害しようとした

など、まだまだたくさんあります。

>>詳細を見る


2.転職

あるときの月一会議で
「会社がつぶれたらお前らのせいだ云々…」などと1時間近い説教タイムがあり、
めまいがしてきて「このままだとやばい」と思い転職を決意。

勤務しながら民間の職業斡旋所を利用し転職活動を行い、
良さそうな企業に行き着き転職。
2週間ほど無職の期間がありましたがほぼ間をあけずに転職。

>>詳細を見る


3.労働基準監督署へ

新しい会社は休暇も取りやすく、
半休を取って労基署に相談に行く。

その場でこれは請求できませんねと言われたものと、
実際に指導に行ってもらって結論の出たものとあります。

以下、相談内容と結果

●求人票と実際の給料の差額
>>大きな差はなく、労働条件にも記載してあるので抗議はできない

●時間外手当の未払い
>>"みなし"としてそれらしき手当が支給されているので請求はできない

●賞与の未払い(査定期間はフルで勤務していた)
>>会社曰く支給日在籍が条件のため支払わない

●退職金が求人票と違う
>>会社曰く就業規則などでは定めていないため支払わない

●求人票や会社の労働条件に精勤手当4000円、皆勤手当7000円とあるが後者しか支払われなかった
>>会社曰く皆勤なら7000円、半休を取れば4000円と、どちらかが支払われるとのこと

●有給取得時に皆勤手当7000円が差し引かれていた(労基法違反)
>>指導の結果4万2000円が支払われる、社長曰く知らなかったとのこと

結果、4万2000円だけ取り返しました。

ちなみに指導に行く前に労基署から言われたのが、
「できれば、まず先に自分で直接会社に不払いを請求して欲しい」ということ。
なぜかというと「小さな会社の社長は労基署を通したことでへそを曲げ支払わなくなることが多い」とか。
子供かよ…

また、求人票がらみのことは対処はしてくれたものの、
ハローワークに行ってくれとも言われる。

>>詳細を見る


4.労働局「あっせん」

パワハラについては労基署では何もできないらしいので
労基署に出向している労働局の人に相談して「あっせん」制度を利用する。

あっせんとは会社と労働者間の問題に
労働問題に詳しい第三者を仲介させ双方の意見を聞いて和解できるか調整する制度です。
無料でできますが強制力は一切なく、白黒付けるものではありません。
あくまで落としどころを見つけるものです。

詳しくはこちらで
個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律 | 厚生労働省
個別労働紛争のあっせん | 中央労働委員会

制度を利用しパワハラの慰謝料として100万円を請求する内容で提出。

結果、社長は話し合いに参加こそしたものの、
請求には一切応じず打ち切りになりました。


5.訴訟〜裁判

先の職業斡旋所の紹介の弁護士を通じて訴訟を起こす。

初期費用
・着手金:20万円
・訴訟費用:3万円
・テープ起こし費用:3万8166円

テープ起こしというのは、恫喝などを録音した音声を専門業者に依頼してテキスト化したものです。
最初自分でやろうとしたところ、たった5分の録音で頭がおかしくなりそうでした。

訴状内容は私の作った文章をもとに弁護士さんがまとめたもので、
何度か打ち合わせを行い請求項目を決めました。

請求内容
・パワハラの慰謝料 110万円
・求人票と実際の給料との差額 47万円
・時間外の不払い賃金 221万9166円
・特定退職金共済制度の掛金 19万8000円
合計 398万7166円

ブラック企業に裁判を起こして120万円をゲットした件/img01.jpg

ブラック企業に裁判を起こして120万円をゲットした件/img02.jpg
訴状の一部抜粋

個人情報は一応伏せておきます。
知りたい人はご連絡ください。


訴訟から一年ほど間は弁護士を通じての書面での罵り合いが続く。

裁判というと素人感覚では頭脳戦みたいなイメージがあったのですが、
提出する書面は互いの悪口や揚げ足取りがほとんどで論理性よりは情に訴えるような傾向がありました。
一般的にそうなのかは知りませんが。

一年を過ぎたあたりで和解の話になり、平日半休を取り3回ほど参加。
社長とも一度顔を合わせました。

結果、120万円で和解となりました。


ブラック企業に裁判を起こして120万円をゲットした件/img08.jpg
こちらが和解条項


ブラック企業に裁判を起こして120万円をゲットした件/img10.jpg


弁護士への成功報酬は15%だったので18万円。

収支
収入:120万
支出:44万8166円
収支:+75万1834円

※移動費などは除く

どうでしょう。
この収支でやる価値はあったと思いますか?


というか、先のツイートはお金で釣るような頭悪そうな文章ですが、
私としてはお金よりも人間の尊厳を取り戻す戦いだったと思っています。
また裁判自体で相手企業に不名誉を与えることもできます。
さらにはブラック企業への抑止力にもなるでしょう。

やって良かった、復讐して本当に良かったと思います。
狭い井戸の中で王様気取ってる老害に思い知らせてやったので大変清々しい気分です。

社長もまさか自分の恫喝、罵倒が録音されており
テキストに起こされ公にされるとは思ってなかったでしょう。

裁判ということで大事のように聞こえるかもしれませんが、
ほとんど弁護士任せということと、和解ということもあり
労力的にはたいしたことはなかったという印象です。
期間でいえば一年半近いのですが、
弁護士との打ち合わせは数ヶ月に一回で合わせても十回弱、和解交渉も三回でしたので。

法廷でのやり合いになれば呪詛のぶつけ合いで互いに心身削りあったでしょうね。
最初はその気でしたがだんだんテンション下がってきて和解で済ませてしまいました。
当初は法廷で社長の怒鳴り声の録音を流して大恥かかせるつもりでしたが。

後悔があるとすれば金額はともかく和解条項はもうちょっとうまい内容にしたかったなぁと。

和解金もこちらの提示額は200万スタートだったのですが
被告側もほいほい了承しませんし、パワハラを認めさせるために金額を下げて提示しました。
そうでなければもっと高かったでしょう。

>>詳細を見る


6.その他、まとめ

●ハローワークへの苦情
求人票と実際の雇用条件の差については【求人票詐欺】と呼ばれ問題となっていますが、
ハローワークに苦情に行っても第一に「求人票あくまで参考ですので…」と言われました。
それでも苦情自体は聞いてくれて、会社に電話もしてもらいましたが、
特にこれといった効果は得られませんでした。
たまたま当たった職員の個人の裁量によるかもしれませんが、
何もしないよりはいいと思います。

●不払い賃金について
私はタイムカードのコピーを取っておいて資料として提出しましたが、
写真撮影でも手書きメモでもいいので、裁判するかは別としてもちゃんと記録は残しておきましょう。
給与明細、労働条件書、ハローワークの求人票などもちゃんと保管しておきましょう。
ただし不払い賃金の時効は(訴えたときから)2年です。

●パワーハラスメントについて
セクハラに関してはだいぶ世間で認知されていますが、
パワハラは認知も法整備も遅れている印象です。
特に本件のように叱咤激励や社員教育を隠れみのにされると判定が難しいでしょう。
精神的な暴力やストレスは目に見えず証拠も残りにくく、客観的な判断も難しいとはいえ。

できる対処としてはいつ何を言われたかのメモや録音をするようにしましょう。
本件でも社長の怒鳴り声や有休消化を妨害しようとしたときの会話などを
録音、文字起こしをし、裁判資料として提出しています。
和解でなければ法廷の場で録音を流していたでしょう。

他にはストレスで不眠症になったなどの医者の診断書があると裁判では有利ですね。
もちろん精神を病み過ぎてからでは遅いのですが。

厄介な問題はパワハラ裁判の判例では慰謝料が極端に低い点です。
ざっと調べた限りでは100〜200万請求しても5万円とかその程度。
こんな状況ではなかなかパワハラだけで裁判起こす気にはなれませんし、判例も抑止力にはなりません。
本件では他の未払いなどとまとめて請求しましたが、
この点は何とかならないんでしょうかね。

外国の裁判では、実際の賠償額にさらに将来的な抑止力としての賠償額を上乗せする制度があるそうですが、
日本では採用されていないようです。

●裁判すると干される?
先のツイートに対するツイッター上の意見をざっと見たところ、
称賛する意見も多々ありましたが
裁判によるリスクを危惧する意見もありました。

曰く裁判をすると職に就けなくなるといったもの。
よほど狭い業界で当事者がそれなりの有名人であればそういうこともあるかもしれませんね。
私の場合はリアルに想像できませんが。

●口座の残高少なくない?
クレカの引き落とし用口座なので普段十万前後しか入れていない口座です。

●裁判の和解金は課税対象?
一応税務署に聞いてみたところ本件では内訳がないので非課税でいいそうです。
ただケースバイケースに思えるので最寄りの税務署に相談してください。

●この記事について
あくまでもブラック企業への対処の一例です。
もっとコストのかからない良い方法もあるかもしれません。

●社畜の皆さんへ
ストレスによって自分の心身が壊れるタイミングは自分でもわかりません。
麻痺や慣れもあるでしょうし。
だからこそ脱出するタイミングが大事で
壊れてからでは遅いのです。
一度壊れたものは二度と完全回復せず一生抱え続けます。

私の大学の同期も仕事でうつ病になった者が多く、
この社会には本当に強い幻滅や不信感があります。

ツイッターのTLを見ていてもブラックとわかりつつ
愚痴りながらも惰性で居続けている人を多々見かけますが、
ブラック企業は長く居るだけ人生無駄です。

ブラック環境でも自分は納得して勤めているからそれでいいという人。
あなたは良くても「辛くても頑張ってる奴もいる、お前だけじゃない」などと
他人への洗脳文句として利用され他人が迷惑します。

ブラック企業問題は法整備も追いつかず自浄作用もなく
当事者が何か行動を起こさない限り何も変わりません。


辞めましょう。
転職しましょう。
労基署行きましょう。
裁判で殴り返しましょう。

自分の人生を良くしましょう。
社会を良くしましょう。


マジで。




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